ドーン・オブ・ザ・デッド

dawnofthedead.jpgジョージ・A・ロメロのリビングデッド3部作の第2作である歴史的傑作「ゾンビ」をリメイクしたサバイバル・ホラー・ムービー。

出演:サラ・ポーリー、ヴィング・レームズ、ジェイク・ウェバー、メキー・ファイファー、タイ・バーレル、スコット・H・ライニガー、ケン・フォリー、トム・サヴィーニほか
音楽:タイラー・ベイツ
脚本:ジェームズ・ガン
監督:ザック・スナイダー


リメイクというものは、オリジナルを継承しつつも新しい何かを加えなければ意味がありません。
単に映像が綺麗だとか、ヴィジュアル面がリアルになったとか、それだけならリメイクとしての価値はゼロ。
最近はホラーの世界でもリメイク・ブームですが、成功しているとは言い難い作品が殆どです。
しかし、この作品はその中でも珍しい成功例の一つ。

オリジナルの「ゾンビ」が大量消費社会への批判を織り込みながら、滅びゆく人間社会を緩やかに描いていたのに対し、この「ドーン・オブ・ザ・デッド」が描いたのは救いなど皆無の絶対的な絶望感。
とにかく展開もゾンビも速い。
襲い来るゾンビの大群とその感染力をゾンビ映画史上最速で描く事で、生き残る事など絶対不可能に思える世界の終焉と言える状況を作り出し、しかしその中でも尚生き延びようとする人間の無力さと強さを圧倒的な迫力で見る者に突きつけてきます。
オリジナルにあった社会批判などのメッセージ性はほぼ原形を留めていませんが、ゾンビという得体の知れないものが襲ってくるという、ある意味恐怖の原点に立ち返った作風には潔さすら感じます。

監督のザック・スナイダーはCM出身だけあって、特にオープニングやエンディングの嫌悪感を煽る映像でそのセンスを存分に発揮。
ああいうスピーディ且つスリリングなノリは、パンクやハード・ロック、メタルの洗礼を受けた世代ならではでしょうね(恐らく)。
本編中でも装甲車の周りにゾンビが群がるライヴのようなシーンは圧巻でした。

主演のサラ・ポーリーは、湾岸戦争中の12歳の時に、ディズニー作品の授賞式でディズニー幹部の制止を無視して平和をアピールする衣装を着続け、それ以来ディズニーのブラックリストに名前が載っていたり、政治デモに参加した際には警官と衝突し奥歯を折った事もあるという反ハリウッドで有名な女優。
ハリウッド作品であるこの作品に出演したのは、オリジナルの大ファンだったからだとか。
オープニングでのバスタブに落ちるシーンをはじめ、オリジナルへの思い入れが生んだ体当たりの熱演が印象的です。
他のキャスト陣は劇場版ではやや印象が薄いのですが、ディレクターズ・カット版では人物描写が深くなっていて感情移入しやすくなっています。
お気に入りは当然サラ・ポーリー演じるアナと、銃器店のアンディ、あとMOTORHEADのレミー似のCJ。
オリジナルでロジャー役を演じたスコット・H・ライニガーが将軍の役で、ピーター役のケン・フォリーが胡散臭い宗教家の役、特殊メイク・暴走族リーダーのトム・サヴィーニが保安官役で出演しているのも見逃せないポイントですね

オリジナルに思い入れがあり過ぎる人や、比較ばっかりする人は楽しめないと思いますが、一つのゾンビ映画として見れば、今後雛形となり得るクオリティを備えた作品です。


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