4 月 2

cube.jpgカナダの奇才ヴィンチェンゾ・ナタリ監督衝撃のデビュー作。

出演:モーリス・ディーン・ウィン、ニコール・デ・ボア、デヴィッド・ヒューレット、ニッキー・グァダーニ、 アンドリュー・ミラーほか
音楽:マーク・コーヴェン
脚本:ヴィンチェンゾ・ナタリ、アンドレ・ビジェリク、グレーム・マンソン
監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ



ある日、無数の鋼鉄製の部屋から成る立方体に閉じ込められた6人の男女。そこは数々の罠が仕掛けられた恐るべき空間だった…。

次々と襲い掛かる不条理で無慈悲な罠と、美しささえ感じさせる幾何学的な”CUBE”のデザインが絡み合い誕生した、未だかつて存在し得なかった傑作。
オープニングからエンディングまで一瞬の隙も見せないスリリングで予測不能の展開に最後まで目が離せない事必至。
その上、極限状態に追い詰められた人間の様々な心の揺れ、嫌らしさ、傲慢さ、醜さ、そして残酷さを冷徹な視点で捉えながら、一握りの希望まで描いているのですから驚異としか言いようがありません。
“CUBE”同様、完璧に計算され尽くしたストーリーとこの演出がヴィンチェンゾ・ナタリの非凡さを十二分に物語っています。
これがデビュー作だとは未だに信じられません。

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3 月 31

51jcbnre8fl.jpgモニカ・ベルッチ、ヴァンサン・カッセル共演の「アパートメント」をリメイクした、運命の悪戯と愛によって翻弄される男女を描いたラヴ・サスペンス。

出演:ジョシュ・ハートネット、ダイアン・クルーガー、ローズ・バーン、マシュー・リラードほか
音楽:クリフ・マルティネス
脚本:ブランドン・ボイス
監督:ポール・マクギガン



ある意味ではロマンティックなラヴ・ストーリーでありながら、プロットよりも登場人物たちを重視したドラマ性の高い作りによって、この作品はありきたりなサスペンスとは一線を画す仕上がりとなっています。
謎だらけの現在に過去がフラッシュバックし、ぼやけていた真実の輪郭が少しずつハッキリしてくるという最近ではありきたりな手法を使いながらも、その見せ方が巧みで、真実が明らかになった時のある種の切なさはなかなか普通のサスペンス作品では味わえない感覚。
これは物語と一定の距離を保ちながら、決して多くを語り過ぎない抑えた演出に拠るところが大きいのでしょう。

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3 月 28

final_cut.jpg人の一生の記憶が脳に埋め込まれた小さなチップに記録されている近未来の世界を舞台に描くSFスリラー。

出演:ロビン・ウィリアムズ、ミラ・ソルヴィノ、ジム・カヴィーゼル、ミミ・カジクほか
音楽:ブライアン・タイラー
脚本:オマー・ナイーム
監督:オマー・ナイーム


曖昧なものである記憶。

この作品は記憶が既に個人のものではなくなり、他人が編集する事が当たり前となっている近未来の物語。
“記憶の編集者”という斬新な設定を用い、現実の謎と記憶の中の謎が絡み合い、色褪せたような映像と共に独特の閉塞感を生み出しています。
一気に引き込まれるオープニングに比べるとエンディングがやや弱く、サスペンス色も薄いですが、淡々としていながらもテンポは良く、決してダレる事はありません。

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3 月 24

51nka7rj13l.jpgフィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を映画化した近未来SFサスペンスの傑作。

出演:ハリソン・フォード、ルトガー・ハウアー、ショーン・ヤング、エドワード・ジェームズ・オルモス、ダリル・ハンナ、ブライオン・ジェームズほか
音楽:ヴァンゲリス
脚本:ハンプトン・ファンチャー、デヴィッド・ウェッブ・ピープルズ
監督:リドリー・スコット


SFと言えば、「スター・ウォーズ」と「2001年宇宙の旅」、そしてこの「ブレードランナー」。

初めて見た時は全然良さが分からなくて、それから何年も経って再チャレンジした時に遅すぎる衝撃を受けました。
それ以来一度も見直していないにも関わらず、ここまで強い印象を残しているのはやはりこの作品のテーマによる部分が大きいと思います。

“個”という存在は何によって”個”たりえるのか。
人格とは記憶が作り出すものなのか、その記憶はどこから来るものなのか。

記憶も記録も改竄可能なもの。
自分の記憶が全て本物だと言い切れる人間など存在しないのではないでしょうか。
この作品の主人公デッカードも同じ。
レプリカントを追い掛け、殺しながら、自分もレプリカントなのではないかと怯え、レプリカントを愛し苦悩します。
そんなデッカードの姿、そして死の間際に人であろうとしたロイの姿に、自分の姿を投影してしまうからこそこの作品はいつまでもミステリアスさを失わずに、未だに僕の記憶に鮮やかに焼き付いています。

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3 月 23

tellmesomething.jpg99年の公開当時、オープニング2日間で40万人を動員し、韓国史上最多動員数を記録した傑作ハード・ゴア・スリラー。

出演:ハン・ソッキュ、シム・ウナ、ヨム・ジョンア、チャン・ハンソン、ユ・ジュンサン、アン・ソクァンほか
音楽:チョ・ヨンウク、パン・ジュンソク
脚本:コン・スチャン、イン・ウナ、シム・ヘオン、キム・ウンジョン、チャン・ユニョン
監督:チャン・ユニョン


“韓流”なんていうブームが起こるなんて思いもしていなかった頃、僕が韓国映画を見るきっかけとなった作品。

“ゴア・スリラー”の名の通り残酷なシーンが多く、世に出回っている評価もそこにばかり言及しているので、どうもそれだけの作品だと思われがちですが、それは大きな間違いです。
この映画の最大の見所、そして魅力は、全編に散りばめられた数々の「謎」。
しかもこの「謎」、なんと何一つ明かされることなく終わってしまいます。
その為、公開から数年経った今でもこの「謎」を解き明かすべく、多くの人が議論し続けている程。
僕は5回見て何とか自分なりの「答え」を出しましたが、この映画、見れば見るほど「謎」が深まっていきます…。
監督は何かのインタビューで「ちゃんとした答えがある」と言っていたように記憶しているのですが、いつか”完全版”が発表される日は来るのでしょうか。

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3 月 20

51y7mou7jl.jpg2004年のサンダンス映画祭で、「SAW-ソウ-」と並んで大きな話題を集めた不条理系SFスリラー。

出演:ジェレミー・シスト、デボラ・カーラ・アンガー、ウド・キア、ランス・ヘンリクセンほか
音楽:テリー・マイケル・フード
脚本:ジェフ・レンフロー、マーテン・トーソン
監督:ジェフ・レンフロー、マーテン・トーソン


現代に限りなく近い、無機質で退廃的な世界観の設定と、閉塞感を漂わせ、生理的嫌悪感を促すかのようなヴィジュアル。
謎めいたアパートの住人たちと、あまりに無造作に投げ掛けられる幾
つもの謎。
それらが幾重にも絡み合い生み出されるのは、妖しく危うい魅力を放つ余りに不条理な近未来。

これは人によってかなり好き嫌いの分かれる作品。
観客を置いていきかねない程説明を排除した展開は賛否両論あるかも知れません。
ただ、個人的にはそれが逆にこの作品の魅力的なヴィジュアルを引き立たせているように感じました。
影を巧みに使い、赤やオレンジといった暖色系の色を冷たく見せるセンスや、随所に感じられる近未来的ゴシックと言える雰囲気はかなり好み。
こういったヴィジュアル面からはデヴィッド・フィンチャーやデヴィッド・クローネンバーグからの影響が見て取れましたね。

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3 月 19

31qd7pxah3l.jpg殺人事件の容疑者となった多重人格の女を巡るサイコ・ミステリー。

出演:シルヴィー・テステュー、ランベール・ウィルソン、フレデリック・ディフェンタール、ミシェル・デュショーソワ、エドュアルド・モントートほか
音楽:ジャン=フェリックス・ラランヌ
脚本:ルネ・マンゾール
監督:ルネ・マンゾール


本格ミステリー、中でも多重人格ものでは間違いなく過去最高レベルの作品。

派手さはありませんが、巧みな伏線の張り方、現在と過去とを行き来するストーリーの見せ方、俳優の演技、そして映像、そのどれもが完璧と言っていいかも知れません。
無駄な贅肉を極限まで削ぎ落とし、隅々まで計算し尽くされたこの100分間は滅多に味わう事の出来ないもの。
全てが収束するラストの美しさに震えました。
そのあまりの見事さに、また最初から見直してしまった程。

ネタバレになるので詳しくは書きませんが、恐らく殆どの人が途中である程度までは結末を予想出来ると思います。
しかし、それが既にミスリード(間違いではないのですが)であり、本当の結末を知った時初めて全ての点が一本の線へと繋がるのです。

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3 月 14
JSA

jsa.jpg今も緊迫した関係が続く「南北の分断」をテーマにし、38度線上の共同警備区域(Joint Security Area)で起こった射殺事件の真相を描いたヒューマン・サスペンス。
当時、韓国で「シュリ」の記録を塗りかえ歴代興行収入No.1を記録した作品。

出演:イ・ヨンエ、ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、キム・テウ、シン・ハギュンほか
音楽:チョ・ヨンウク
脚本:キム・ヒョンソク、チョン・ソンサン、イ・ムヨン、パク・チャヌク
監督:パク・チャヌク


韓国へ行った際、板門店にも行ってきました。
氷河と化したイムジン河、明らかに異質な緊張感が漂うJSAと、そこから見える北朝鮮の荒涼とした大地。
日本とはあまりにかけ離れたその情景は、今でもまざまざと甦ってくるほど強烈なものでした。

この作品が描くのは、南北の兵士たちの禁じられた友情と、皮肉にもその友情が生み出してしまう悲劇。
そして、何も変えることが出来ない主人公たちの悲しいほどの無力さ。
何故同じ民族が分断され、敵同士となり殺し合わなければならないのか。
戦争の不条理さ、残酷さ、悲惨さ。
敵同士だという事を忘れさせるほどの微笑ましい光景が続けば続くほど、より深く、重く心に突き刺さるあまりにも哀しい結末。
この作品には統一への希望と願いが託される一方で、友情だけでは変える事の出来ない南北の深い溝が、何度も登場する「帰らざる橋」に象徴されています。

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3 月 12

511pbcvbrl.jpgカオス理論の“バタフライ効果”をモチーフにした傑作SFサスペンスの続編。

出演:エリック・ライヴリー、エリカ・デュランス、ダスティン・ミリガン、ジーナ・ホールデンほか
音楽:マイケル・サビー
脚本:マイケル・ウェイス
監督:ジョン・R・レオネッティ


ストーリーもキャストも作品の完成度も何もかもが前作の1/10くらいにスケール・ダウンした”悪い続編のお手本”みたいな作品。

前作は脚本そのものが本当によく練られていて、作り手側の作品に懸ける意気込みが伝わってきましたが、この続編は前作のフォーマットを適当に改変しただけの中途半端な代物。
共通点は主人公が過去をやり直せる能力を持っているという一点のみです。
何故かホラー風味なオープニング・クレジットにはじまり、前作にあったスリリングさも意外性もない安易に予想出来る展開が継ぎ接ぎのように続き、大きな盛り上がりも無いまま呆気なく終了…。
キャストの無名っぷりや、タイムスリップ・シーンの手抜き感などから察するにあまり予算がなかったようですが、もうちょっと何とかなったはずです。

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3 月 8

newdvd.jpg2004年度カンヌ国際映画祭で「華氏911」のパルムドールに次ぐグランプリを獲得し、タランティーノから「本当はオールド・ボーイにパルムドールをあげたかった」とまで言わせた作品。
原作は土屋ガロン&嶺岸信明。

出演:チェ・ミンシク、ユ・ジテ、カン・ヘジョン、チ・デハンほか
音楽:イ・ジス、チェ・スンヨン、シム・ヒョンジュン
脚本:パク・チャヌク
監督:パク・チャヌク


「凄い映画を見た」ではなく、「凄い映画を見てしまった」というのが見終わった後の正直な感想です。
その衝撃は体からなかなか抜けてくれず、全く寝付けなかったほど。
こんな作品は一生に何本かしか出会えません。

正直、タランティーノが絶賛したというのと、“ノンストップ・ヴァイオレンス・アクション!”の謳い文句にそこまで期待はしていませんでした。
ところが物語が進むにつれて、その巧みな脚本とチェ・ミンシクの恐ろしい演技力にぐいぐいと引き込まれ、2時間がアッと言う間に過ぎ去ってしまいました。
実際のところヴァイオレンス色はそれほどでもなく、サスペンスとドラマの要素が非常に強い作品ですがあまり気軽には見ない方が良いでしょう。
作品全体から発散されるパワフルなエネルギーに圧倒され、疲れる事請け合いです。

主人公オ・デスを演じるチェ・ミンシクの演技力は、韓国を飛び出して間違いなく世界レベルと言えます。
ハリウッド版リメイクで彼の演技を超える事は出来ないと思います。
それほどまでにこの作品でのチェ・ミンシクの演技には凄まじいものがあります。。
まるで自らの命を削るかのような、“演技”という一言では片付けてはいけないとさえ思わせる、まさに迫真の演技。
ユ・ジテやカン・ヘジョンの演技も十分素晴らしいものですが、このチェ・ミンシクの前では霞んでしまっています。

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