僕らのミライへ逆回転

bekindrewind.jpgひょんなことからハリウッド映画をホームビデオで勝手にリメイクしてしまうおバカな男たちの姿を、映画愛と手作り感いっぱいに描いたハートウォーミング・コメディ。

出演:ジャック・ブラック、モス・デフ、ダニー・グローバー、ミア・ファロー、メロニー・ディアス、シガーニー・ウィーバーほか
音楽:ジャン=ミシェル・ベルナール
脚本:ミシェル・ゴンドリー
監督:ミシェル・ゴンドリー



まずはYouTubeで”Sweded”を検索。
世界中には愛すべきバカたちが沢山いる事が分かってニンマリしてしまいます。
この”Sweded”とは何か?
それはこの作品内で、ジャック・ブラックたちが手作りビデオをお客さんに誤魔化す為に「このビデオは”Sweded(スウェーデン製)”なんだよ」と適当すぎる言い訳をした事から、この”Sweded”という造語が映画好きに広まり、YouTubeなどで”Sweded”作品がブームになったというわけなんです。
それくらいこの作品の中で名作の数々が”Sweded”されていく様子は印象深く、誰しもが自分たちでもやってみたくなる事請け合い。
僕がこの作品のストーリーを最初に知った時、「絶対にこれは爆笑必至の作品になるに違いない!」と確信したのもそこが大きな理由でした。

しかし、実際に観てみてそれは良い意味で裏切られました。
名作の数々を”Sweded”するのはあくまでストーリーの過程であって、作品のテーマではなかったんです。
そう、この作品はジャック・ブラック主演のおバカコメディではなく、現在の映画界へのアンチテーゼを多分に含んだ感動作でした。

ホワイト・ライズ

51jcbnre8fl.jpgモニカ・ベルッチ、ヴァンサン・カッセル共演の「アパートメント」をリメイクした、運命の悪戯と愛によって翻弄される男女を描いたラヴ・サスペンス。

出演:ジョシュ・ハートネット、ダイアン・クルーガー、ローズ・バーン、マシュー・リラードほか
音楽:クリフ・マルティネス
脚本:ブランドン・ボイス
監督:ポール・マクギガン



ある意味ではロマンティックなラヴ・ストーリーでありながら、プロットよりも登場人物たちを重視したドラマ性の高い作りによって、この作品はありきたりなサスペンスとは一線を画す仕上がりとなっています。
謎だらけの現在に過去がフラッシュバックし、ぼやけていた真実の輪郭が少しずつハッキリしてくるという最近ではありきたりな手法を使いながらも、その見せ方が巧みで、真実が明らかになった時のある種の切なさはなかなか普通のサスペンス作品では味わえない感覚。
これは物語と一定の距離を保ちながら、決して多くを語り過ぎない抑えた演出に拠るところが大きいのでしょう。

ブレインデッド

braindead.jpg未知の生物ラット・モンキーから感染していくゾンビ騒動を描いたスプラッター・ホラー。

出演:ティモシー・バルム、ダイアナ・ペニャルヴァー、エリザベス・ムーディ、イアン・ワトキンほか
音楽:ピーター・ダゼント
脚本:ピーター・ジャクソン、スティーヴン・シンクレア、フランシス・ウォルシュ
監督:ピーター・ジャクソン


スプラッター・ムービーの極北。

この作品ほどストーリーや登場人物など通常作品の重要なファクターになるべきものが、そのヴィジュアルの前に霞んでしまう作品もないでしょう。
恐らく、この作品を見た全ての人の脳裏に焼き付くのは画面一杯に広がる血の海だけ。
クライマックスで延々と続く、プール一杯分の血糊を使ったというゾンビ大量殺戮(って元々死んでるけど)シーンは凄過ぎて笑うしかありません。
散々色んな方法で殺しておいて、最後にまだ芝刈り機が出てきますからね。
クライマックスだと思ってたシーンが、実は更に壮絶なクライマックスの盛り上げ役でしかなかったという衝撃的なバトル・シーンは映画史に残る名場面。
主人公ライオネルを演じたティモシー・バルムの狂気に取り憑かれた異様なテンションと引き攣った笑顔の不気味さも必見です。

ファイナル・カット

final_cut.jpg人の一生の記憶が脳に埋め込まれた小さなチップに記録されている近未来の世界を舞台に描くSFスリラー。

出演:ロビン・ウィリアムズ、ミラ・ソルヴィノ、ジム・カヴィーゼル、ミミ・カジクほか
音楽:ブライアン・タイラー
脚本:オマー・ナイーム
監督:オマー・ナイーム


曖昧なものである記憶。

この作品は記憶が既に個人のものではなくなり、他人が編集する事が当たり前となっている近未来の物語。
“記憶の編集者”という斬新な設定を用い、現実の謎と記憶の中の謎が絡み合い、色褪せたような映像と共に独特の閉塞感を生み出しています。
一気に引き込まれるオープニングに比べるとエンディングがやや弱く、サスペンス色も薄いですが、淡々としていながらもテンポは良く、決してダレる事はありません。

ブレードランナー

51nka7rj13l.jpgフィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を映画化した近未来SFサスペンスの傑作。

出演:ハリソン・フォード、ルトガー・ハウアー、ショーン・ヤング、エドワード・ジェームズ・オルモス、ダリル・ハンナ、ブライオン・ジェームズほか
音楽:ヴァンゲリス
脚本:ハンプトン・ファンチャー、デヴィッド・ウェッブ・ピープルズ
監督:リドリー・スコット


SFと言えば、「スター・ウォーズ」と「2001年宇宙の旅」、そしてこの「ブレードランナー」。

初めて見た時は全然良さが分からなくて、それから何年も経って再チャレンジした時に遅すぎる衝撃を受けました。
それ以来一度も見直していないにも関わらず、ここまで強い印象を残しているのはやはりこの作品のテーマによる部分が大きいと思います。

“個”という存在は何によって”個”たりえるのか。
人格とは記憶が作り出すものなのか、その記憶はどこから来るものなのか。

記憶も記録も改竄可能なもの。
自分の記憶が全て本物だと言い切れる人間など存在しないのではないでしょうか。
この作品の主人公デッカードも同じ。
レプリカントを追い掛け、殺しながら、自分もレプリカントなのではないかと怯え、レプリカントを愛し苦悩します。
そんなデッカードの姿、そして死の間際に人であろうとしたロイの姿に、自分の姿を投影してしまうからこそこの作品はいつまでもミステリアスさを失わずに、未だに僕の記憶に鮮やかに焼き付いています。

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