宇宙戦争(2005)

waroftheworlds.jpg1898年にH・G・ウェルズが発表したSF小説の金字塔「宇宙戦争」を映画化した1953年版をリメイクした作品。

出演:トム・クルーズ、ダコタ・ファニング、ティム・ロビンス、ミランダ・オットー、ジャスティン・チャットウィンほか
音楽:ジョン・ウィリアムズ
脚本:デヴィッド・コープ、ジョシュ・フリードマン
監督:スティーブン・スピルバーグ


古典的な手法と現代の映像技術で描いたパニック・ムービーの傑作。

最近のパニック映画はどちらかと言うとグラフィック的な派手さで恐怖感を煽るものが多いのですが、この作品はそれとは対照的にもっと根源的な恐怖を描いています。
流石「激突!」や「ジョーズ」を撮ったスティーブン・スピルバーグ、画の見せ方が素晴らしい。
客観的な視点は殆ど登場せず、あくまで視点は主人公からのもの。
当然いちいち説明などありません。

何が起こっているのか、アレは何なのか、自分達はどうなるのか…。

その「分からない」事から来る不安、恐れ、そして恐怖の感染が作品全体を覆い、途方もない絶望感を描き出しています。
こういった危機的状況での集団パニックや、「100万年前から埋まってた」などの根も葉もない噂を信じてしまう判断能力の喪失は、現実世界でも有り得るだけに恐ろしさを感じました。

勿論、映像的な派手さがないわけではありません。
トレーラーで流れてたハイウェイが吹っ飛ぶシーンや冷酷無比に人間を攻撃するトライポッドなど、これまで見た事がないような驚きに満ちた映像が満載。
その凄まじい迫力に手に汗握るのは間違いないでしょう。
でも、それは演出のひとつであって、作品の根幹を成すのはあくまで1人の人間のドラマ。
これは、決して良い父親とは言えない主人公が、突然直面する危機的状況の中で子供達との絆、そして父親らしさを取り戻していく物語なのです。

その父親を演じたトム・クルーズ。
ヒーロー的な部分は全く無い役柄で、とにかく子供たちと逃げるしか出来ない無力な役なのですが、その必死さが意外に良いです。
何だかんだ言ってもやはり存在感抜群。
娘役のダコタ・ファニングは、パニック状態になって叫びまくるシーンがリアル過ぎて逆に恐かったり。
ティム・ロビンスの狂気の演技もモーガン・フリーマンのナレーションもハマり役でした。

賛否両論分かれたラストは個人的には結構好きです。
「人間が作り出した兵器ではなく自然が勝利する」というオリジナルと同じラストを、今、敢えて選んだ事に意味があるのだと思います。
確かに呆気ないと言えば呆気ないですが、あそこまで圧倒的な力の違いを見せ付けられてて「何とか勝ちました!」ってなるとそれこそ興醒めです。

恐怖をエンタテインメントに変える天才スティーヴン・スピルバーグの凄さに浸れる傑作。


Similar Posts