血と骨

梁石日の第11回山本周五郎賞を受賞した自伝小説を、「刑務所の中」や「クイール」の崔洋一が映画化し、2004年の数々の映画賞を総ナメにした作品。
主演は、俳優に専念した映画出演は14年ぶりとなるビートたけし。
その脇を鈴木京香、オダギリジョー、新井浩文などが固めています。

普段ならまず見ないタイプの作品ですが、発注の為見る事に。
勿論原作も読んでません。
ちなみにビートたけしの作品を見るのもほぼ初めて(嫌いなわけではありません)。
この作品やたらと評価が高いんですが、どこをそんなに評価されたんでしょうね。
この作品を見ても、金俊平という人物が自身の欲と暴力で周囲の人々を恐怖で屈服させ、のし上がっていったという事と、何が何でも生き抜いてやるという金俊平の貪欲なまでの生きる事への執着心ぐらいしか分からないと思います。
何が彼をそこまで駆り立てたのか、彼を怪物たらしめたものは何だったのか、それこそが描くべき事だったのではないでしょうか。
僕はそっちの方に興味を持ちましたし、そこを描かずにこの内容だけ作品にするというのはかなり疑問を持ちました。

確かに演技は評価されると思います。
ビートたけしの気迫に満ちた演技を始め、鈴木京香や濱田マリ(モダンチョキチョキズ!)の文字通りの体当たり演技は単純に凄いと思いました。
あとオダギリジョーも僕が見た作品の中では一番良い演技をしていて見直したり。
ちょっとだけの出演でしたけど伊藤淳史も良かったですね。
そういった意味では最近の日本映画の中ではちょっとなかった作品だと思います。
でもそれと同時に、演技だけの作品とも言えるでしょうね。


セットやカメラワークもしっかりしていてクオリティは高いのですが、様々な出来事をただ繋ぎ合わせただけの編集はいただけません。
出演者の演技でまだ見ていられますが、これで2時間半は正直辛かったです。
結局、金俊平という人物の内面を掘り下げず、表面だけ描いた事に問題があるんでしょうね。
一瞬だけ彼が優しさを見せるシーンがあるんですが、あれも中途半端な見せ方で良くなかったです。

原作を読んでる人なら背景が分かってるだろうし普通に見れるかも知れませんが、そうでない人にはつらい作品だと思います。
もし原作を読んでるという事を前提に作ったのであれば、それは最初から観客に頼った作り方をしてるわけで問題外です。
あと、この作品のキャッチコピーに「血は母より、骨は父より受け継ぐ」というのがありましたが、作品の中で金俊平の子供である事を指して「呪われた血が流れている」みたいな台詞が出てきます。
そこは単純に疑問でしたね。


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