エリック=エマニュエル・シュミットがコーランと実在した祖父の思い出を元に描いたベストセラーを原作に、トルコ移民の老人とユダヤ人少年の心の絆を描いた感動ドラマ。
少年モモを演じるのは、約250人の候補者の中から選ばれたという新人ピエール・ブーランジェ。
老人イブラヒムを演じるのは「アラビアのロレンス」「ドクトル・ジバゴ」などで知られるオマー・シャリフ(この作品をきっかけに俳優業に復帰し、「オーシャン・オブ・ファイアー」にも出演)。
あと、スター女優の役でイザベル・アジャーニがちょっとだけ出演してます。
監督は「夜のめぐり逢い」「将校たちの部屋」のフランソワ・デュペイロン。
劇場で予告編を観た時から見たかった作品ですが、ようやく見る事が出来ました。
結構淡々とした話なのかと思ってたんですけど、そんな事もなく、最後までテンポ良く見る事が出来ました。
その最大の要因は音楽。
全編に散りばめられた60年代のアメリカ産ポップスとロックンロールが、およそ似つかわしくないようなフランスの裏通りでトランジスタ・ラジオから流れる。
実際、当時のフランスではこの手の音楽が若者の間で大流行していたらしく、作品に軽やかなノリを生み出していました。
人種も文化も違う人々の交流を描いたストーリー自体もなかなか良かったですね。
ラストは予想通りの展開(しかも結構唐突)になってしまってちょっと残念でしたが、現実はそういうもの。
この作品の良さを失うものではありませんでした。
イブラヒムがどこにそんなお金を持ってたのかは不思議に思いましたが。
ピエール・ブーランジェの、モモが1人の人間として成長していく演技もとても新人とは思えないほど素晴らしいものでしたが、オマー・シャリフの味わい深い演技が本当に素晴らしかったです。
やはり人生自体を長い間積み重ねている人には、何とも言えない説得力がありますね。
2人が旅する世界各地の風景も美しかったですし、そこにきちんとその土地の文化や宗教などを描いていた事には好感が持てました。
イスラム教の知識があればより深くこの作品を理解出来るのかもしれませんが、僕のように知識がなくても十分鑑賞出来る作品だと思います。