ランド・オブ・ザ・デッド

地上のほとんどがゾンビに埋め尽くされた世界で、生者と死者との攻防を描いたリビングデッド・シリーズ20年ぶりの新作。
出演は「イージー・ライダー」「悪魔のいけにえ2」のデニス・ホッパー、「L.A.コンフィデンシャル」「ザ・リング2」のサイモン・ベイカー、「雨上がりの駅で」「トリプルX」のアーシア・アルジェント(言わずと知れたダリオ・アルジェントの娘)、「ダイ・ハード2」「カリートの道」のジョン・レグイザモなど。
監督は勿論“マスター・オブ・ホラー”ジョージ・A・ロメロ。

期待と不安半々といった感じで観に行ったのですが、なかなか楽しめました。
メジャーで製作された事から格段にヴィジュアル面などがスケールアップし、あの独特のチープさが無くなってしまったのは残念でしたが、近年のエンタテインメントとしてのゾンビ映画とは一線を画す、まさに正統派ゾンビ映画と言える仕上がりでした。
ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」ではベトナム戦争や人種差別を、「ゾンビ」では大量消費社会を、そして「死霊のえじき」では軍事力の拡大を隠喩し、警鐘を鳴らしてきたジョージ・A・ロメロ。

この作品でもその時代性を反映させたスタイルは健在で、9.11以降のアメリカを象徴した世界設定や貧富の拡大、他者への無関心など、現代社会が抱える様々な問題を過去の3部作に比べ、より明確に描いています。


前作「死霊のえじき」では知能を持ったゾンビ、バブが登場しましたが、この「ランド・オブ・ザ・デッド」の特徴はそこから更に進化したと思われるゾンビたちが登場し、完全に統率されてはいないものの、学習し、群れを作って人間たちを襲うという点。

これは「死霊のえじき」同様賛否両論あるでしょうが、ここからは生き残った人間たちよりもむしろゾンビたちの方が人間らしいというロメロの強烈な皮肉が見て取れます。
人間よりも、むしろゾンビの方に感情移入出来ましたしね。
あとはオープニングから既にゾンビと戦っているという設定や、主人公たちが大勢のゾンビに対抗し得る武器(デッド・リコニング号など)を持っているところも過去の作品との大きな違いですね。
これによってアクション面での見せ場が格段に増え、スピード感やスリリングさが増していました。
ただ、残念だったのはこういった点が際立った代わりに過去の3部作ほど途方も無い閉塞感や虚無感、終末感が感じられなかった事。
個人的にはあの救いの無さに恐怖を感じていたので、この作品を怖いと思う事はありませんでした。
とは言え、最近のメジャー系のホラーではまずお目にかかれない程の残酷描写は満載なので、エグいのが苦手な人は見ない方が良いと思いますけどね。

ジョージ・A・ロメロに近い将来新たな作品を撮ってもらう為にも、ゾンビファンは是非劇場へ足を運びましょう。


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コメント

  1. ランド・オブ・ザ・デッド

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  2.  TBありがとうございますm(_ _)m

     最近は、この手の映画もすっかり肩身が狭くなってし
    まい、ゾンビ映画ファンとしては少々寂しい気もします
    が、ジョージ・A・ロメロ御大自らがメガホンを取った
    とのことで、ウキウキしながら観賞♪

     智恵を身につけ、学習するゾンビは、確かに「人間らし
    さ」を備えてましたね。金と権力の亡者となる人間の方が
    よほど餓鬼に思えました。

  3. sin says:

    そうですね、一時に比べるとかなり減りましたよね。
    でも「ドーン・オブ・ザ・デッド」やこの作品をきっかけにまた沢山のゾンビ映画が作られる事を祈ってます!
    レンタル店ではいまだにゾンビものは人気なんですけどねぇ。

  4. リリー says:

    やっほぉ~☆
    TBコメントサンキュー!
    やっと観れたよぉ~コレ{ルンルン}
    確かに私も怖くなかったなぁ~
    でもロメロワールド全開だったと思わない?
    なんか自分の好きなように、撮りたいようにっていうのが良くわかったから納得できたのかなぁ^^

  5. sin says:

    いらっしゃいませ~♪
    かなりロメロワールドでしたよね。
    これまででは一番ポピュラーな作品だとは思いますけど、それでもちゃんと自分の色を出すのは流石だなと思いました。
    今年もゾンビ映画公開されないかなぁ(笑)

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