パッチギ!

1968年の京都を舞台に、日本人の少年と朝鮮高校の生徒たちとの交流を描いた青春群像ドラマ。
出演は、塩谷瞬、高岡蒼佑、沢尻エリカ、楊原京子、尾上寛之、真木よう子、オダギリジョー、光石研、加瀬亮、余貴美子、大友康平、前田吟など。
監督は「岸和田少年愚連隊」「ゲロッパ!」の井筒和幸。

世間一般で非常に評価が高いこの作品。
実は映画館に観に行こうと思ってたのですが、時間を作れず結局レンタル待ちに。

そして、レンタルが開始されたにも関わらず、発注の為にサンプル見たりしてる間に半年ほど経ってしまいました…。
まぁ並以上の作品ではあるだろう、という確信にも似た安心感のようなものがあったから今まで見なかったというのもありますが。
でも、見終わった今は、劇場公開時やリリース時に見てなくて良かった、という気持ちが強いです。
韓国に、そして板門店に行っていなかったら、リアルにここまで感動出来たかどうか…。
噂に違わぬ素晴らしい作品でした。

北朝鮮と韓国、そして日本の関係を描こうとすると、えてして重い作品になりそうなものですが、この作品は決してそうはなっておらず、「民族としてのアイデンティティー」というテーマを盛り込みながらも、あくまで笑いあり涙ありの青春エンタテインメントに仕上がっています。

ここら辺のバランス感覚が本当に見事でしたね。
基本となるのは所謂「ロミオとジュリエット」タイプのストーリーながら、現在へと続く日朝間の歴史を巧みに織り交ぜ、日本人、そして在日朝鮮人両方の視点で描く事によって、喜怒哀楽の全てが詰まった深みが生まれていました。
現在も休戦中の北朝鮮と韓国、そして未だに溝を埋められない日韓、日朝関係。
喧嘩に明け暮れるアンソン達や、康介が歌う「イムジン河」など、この作品で描かれる何かを乗り越えようとする者達が持つエネルギーこそが、民族や歴史の垣根を打ち崩す最大の武器なのだと思います。


若手俳優が多いので、その演技力が話に水を差すのではないかという不安もありましたが、蓋を開けてみれば全く問題なし。
特にアンソンを演じた高岡蒼佑と、その妹キョンジャを演じた沢尻エリカはかなり好演していました。

あと真木よう子が、「サマータイムマシンブルース」の時とは全く違う役柄を違和感無く演じていたのには吃驚。

そして、オダギリジョーはやっぱり良い。
更に好きになりました。

唯一この作品で残念だったのは、60年代の京都を舞台にしているにも関わらず、現代の京都の風景が結構登場する事。
大きなマンションが映ったり、西部講堂の周囲に新しい京大の校舎が映ったり、街中に市電が走ってなかったり…。

これでも極力映らないように配慮したんでしょうけど、やっぱりハリウッドなんかに比べると詰めが甘いなと思いました。

まぁ、これは京都に住んでいるからこその不満かも知れませんが。

若い人にこそ見てもらいたい作品です。
昨年見てたらベスト10に入ってたかも。


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コメント

  1. 忍者 says:

    FreewillにはLeeくんがいたから、その辺の思いは強いのかな。

    >韓国に、そして板門店に行っていなかったら、
    あっ、旅行後だったからね。

    >現代の京都の風景が結構登場する事。
    全ては金だ。

  2. sin says:

    >FreewillにはLeeくんがいたから、その辺の思いは強いのかな。

    いや、別にそういうわけではありません。
    元々、人種とか民族に対して差別意識って皆無なんですよ。
    でも、現実には色んな問題があるわけで。

    韓国に行って、南北の現状、違いを肌で感じた事で、よいそこらへんに対する理解と興味が増したって事です。

    映画に限らず、娯楽っていうのは傍から見ると無駄遣いに思えるようなお金をかけて、そこにどれだけの価値を見出すかっていう側面があると思うので、「ここまでの作品を作ったのなら…」って感じですかね。
    この間観た「キング・コング」なんかは30年代のニューヨークを再現してましたから、それと比べるとどうしても…。

  3. 忍者 says:

    >いや、別にそういうわけではありません。
    そうみたいね。彼は日記とかでそんなこと書いていたような気がしたけど、バンド内でわざわざ話題にしないわな。

    >人種とか民族に対して差別意識
    これは親の育て方に起因すると思います。

    >お金をかけて、そこにどれだけの価値を見出すかっていう側面
    そこは作り手やクォリティの問題じゃなく、買い手の問題やね。売れそうな作品にはお金もつくし。「Always三丁目の夕日」(見てないけど)のようなCGを使えれば良かったのかも知れないけど、テーマ的にも回収が難しいと思ったのかな。
    音楽も一緒ね。

  4. sin says:

    >これは親の育て方に起因すると思います
    勿論それは大きいでしょうね。

    >作り手やクォリティの問題じゃなく、買い手の問題
    ビジネスとしては確かにそうですが、作り手(特に監督かな)にもただの仕事(少なくともこの作品は)ではない以上見出してるものがあるはずです。
    どうしても実現させたければ監督が私財を投げ打ってでも、借金背負ってでも出来たと思います。
    実際にどれくらいお金がかかるかは知りませんけど、マンションを消すくらいなら大してかからないでしょう。
    また「キング・コング」を持ち出してあれですが、ピーター・ジャクソンなんかはまさに私財を投げ打ってあの作品を作り上げたわけです。
    勿論世界と日本では金額は違いますが、それほどまでに作りたかった作品という事です。

    まぁ単純にセットやCGが嫌いなだけかも知れませんけどね(笑)
    個人的にはあそこで妥協して欲しくなかったという事です。

  5. 「パッチギ」

    『パッチギ!』 ★★★★ 【監督】井筒和幸 【出演】塩谷瞬 /高

    映画館で観ようと思ってて、見逃した作品をDVDで。
    井筒監督が自ら、テレビで宣伝してたよね。
    2004年製作の青春ドラマ、119分もの。

    あらすじ以下ネタバレ注意↓(反転モード)
    60年代の京都。
    高校二年の康介はグループサウンズに影響を受けたりしてる普通…

  6. 忍者 says:

    >勿論それは大きいでしょうね。
    ぼじおっちーのご両親は、上手く育てられたね。まあ、仲良しぶりを見てもわかるか。

    >どうしても実現させたければ監督が私財を投げ打ってでも、借金背負ってでも出来たと思います。
    映画の予算てちょっとやそっとの私財や借金では追いつかないイメージがあるなあ。

    >まぁ単純にセットやCGが嫌いなだけかも知れませんけどね
    「そんなもんは、お前らの頭の中で消せ!」って言いそう。

    数多く見ているから、いろんな所が気になるんやね。映画は・・・後5,6年は無理かな。

  7. sin says:

    >ぼじおっちーのご両親は、上手く育てられたね
    それはどうでしょうねぇ。
    世間一般からすればアウトサイダー寄りだと思いますけど(苦笑)

    >映画の予算てちょっとやそっとの私財や借金では追いつかないイメージがあるなあ。
    まぁものによりますけどね。
    ちなみに「スター・ウォーズ」はジョージ・ルーカスの自費で作られてます(笑)

    >「そんなもんは、お前らの頭の中で消せ!」って言いそう
    言いそうですね。
    キャラとしてはあんまり好きではありません。
    矛盾した事よく言ってますからね。

  8. 忍者 says:

    >世間一般からすればアウトサイダー寄り
    仕事とか、そんなんじゃなくてね。まあ、そう言う意味で言えば、私もそうなるか・・・。
    それに、あんまり褒めてばかりでもいかんな。

    この穀潰し!{ロケット}

    >「スター・ウォーズ」はジョージ・ルーカスの自費で作られてます(笑)
    !?(゚〇゚;)ウ、ウソ・・。{お金}

  9. sin says:

    精神的にも結構アウトサイダーだと思いますよ。
    捻くれ者ですから(笑)

    「スター・ウォーズ」は実は配給こそ20世紀FOXですが、制作してるのはジョージ・ルーカスの個人会社(ルーカス・フィルム)、つまりインディーズ映画なんですよ。
    通常は配給元の大手映画会社なんかが資金を出すんですけど、それだと当然口を挟まれるわけで、ジョージ・ルーカスはそれが嫌で堪らないらしく、自分でお金出してるようです。
    まぁ関連商品のライセンスなども相当ありますから、何もしなくても毎年億単位のお金は入ってくるはずですけどね。
    ちなみに、今では作って当たり前のフィギュアなどの映画の関連グッズを最初にやったのも「スター・ウォーズ」です。

  10. 忍者 says:

    平成の成金が捕まったけど、お金が、自家用ジェット買ったり、フェラーリ買ったりと、自分のための「物」しか買わない人に使われるなら、ルーカスのように「夢」を作ることに使われて欲しいな。

    ウン、きれいにまとまった。{笑}

  11. sin says:

    みたいですねぇ。
    僕なら必要以上のお金があれば寄付します。
    もしくは世界情勢を変える為に使います。

    「お金の為」に生きるのは望む所ではありませんね。

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