復讐者に憐れみを

一組の男女が起こした誘拐が、悲劇を生み出し、やがて不毛な復讐の連鎖に姿を変えていく様を描いたヴァイオレンス・ドラマ。
出演は「大統領の理髪師」「殺人の追憶」のソン・ガンホ、「ガン&トークス」「マイ・ブラザー」のシン・ハギュン、「子猫をお願い」「リンダ リンダ リンダ」のペ・ドゥナ、「黒水仙」「我が心のオルガン」のイ・デヨン、「チャンピオン」「春夏秋冬そして春」のチ・デハンなど。
監督は「JSA」「オールドボーイ」のパク・チャヌク。

「オールド・ボーイ」「親切なクムジャさん」に連なる復讐三部作の第一部をようやく見ました。
「オールド・ボーイ」の時のある種のトラウマのせいで、見るのにちょっとした覚悟を必要としたせいで、こんなに見るのが遅くなってしまったのですが、「オールド・ボーイ」ほどではないにせよ、やはりこれも強烈な作品でした。

復讐は復讐を生み、悲劇は悲劇を生む。

復讐の連鎖。

それはテロに対する報復然り、人間が繰り返してきた愚かな争いの歴史そのものと言えるでしょう。
個人間であれ、国家間であれ、それが何を生むのかは一目瞭然。
悲しさや虚しさを孕んだ息苦しさが心臓を鷲掴みするラストを見れば、復讐が一時の心の安らぎになったとしても、いかに不毛なものか感じる事が出来るはずです。

パク・チャヌクの作品はどれも非常にシリアスなストーリー、テーマを持っていますが、「JSA」も「オールド・ボーイ」も、そしてこの「復讐者に憐れみを」も何処かコミカルな部分があって、それが何とも言えない独特の雰囲気を生み出しています。
それが、もしかすると観客にとっての唯一の救いなのかも知れません。

「JSA」や「殺人の追憶」でのどこか人懐っこいような演技が印象的なソン・ガンホですが、この作品での役柄はそれとは真逆。
その恐ろしいまでの非情さ、冷徹さは、誰しもが持つ狂気の一面を見事に表現していました。
シン・ハギュンとペ・ドゥナも良かったですが、このソン・ガンホの演技が全て持っていってしまっていましたね。

ますます「親切なクムジャさん」が楽しみになりました。


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