愛についてのキンゼイ・レポート

性に対する考えが現在よりも遥かに保守的だった1940~50年代に、アメリカ人のセックスに関する赤裸々な調査結果を発表し、センセーションを巻き起こした実在の動物学者アルフレッド・キンゼイ博士の半生を綴ったヒューマン・ドラマ。
主演は「シンドラーのリスト」「バットマン ビギンズ」のリーアム・ニーソン。
共演に「トゥルーマン・ショー」「ラブ・アクチュアリー」のローラ・リニー、「三銃士」「バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲」のクリス・オドネル、「ニュースの天才」「フライトプラン」のピーター・サースガード、「ウィズ・ユー」「将軍の娘/エリザベス・キャンベル」のティモシー・ハットン、「シビル・アクション」「オレンジカウンティ」のジョン・リスゴーなど。
監督は「シカゴ」の脚本も手掛けた「ゴッド・アンド・モンスター」のビル・コンドン。

この作品を見るまでキンゼイ・レポートの存在も、アルフレッド・キンゼイという人物も全く知りませんでした。
日本でも有名なんでしょうか?
世の中色んな研究をしてる人がいますけど、50年以上も前にこういう事をやってた人がいたんですね。
それ自体がなかなか興味深かったです。
研究である以上、やはり相当数のサンプルが必要なわけで、キンゼイ博士は研究データとして使えるサンプルを集める為に助手たちと調査を始めるんですが、その調査方法というのが18000人もの人たちに対して約350の質問をインタビュー形式で実施し、更にプライバシーを保護する為に答えは暗号で記入するというもの。
性について語るのがタブー視されていた時代に、これだけの大調査を実際にやってしまう行動力と言うか執念には本当に驚かされました。
そしてその調査同様、この作品も下手するとコメディになりかねない内容を、やや淡白ではありましたが、大真面目且つ丁寧に仕上げてあって好感が持てました。


作品の大部分はこの調査の過程を描いているんですが、性別や年齢に関わらず、本当に人それぞれの答えがあり、そして殆どの人が自分をマイノリティだと見做して少なからず悩んでいたという事から、当時の保守的な社会的背景が感じられて面白かったですね。
ただ、調査の過程に物語の大部分を費やすあまり、キンゼイ夫婦の「愛」についての描き方がやや不足気味に感じたのが残念でした。

リーアム・ニーソンは相変わらずの芸達者ぶりでしたが、それ以上にこの作品は学生時代から晩年に至るまでを違和感なく演じ分けていたローラ・リニーの演技が光っていましたね。
ラストでの2人の表情は本当に素晴らしかったです。
最近お気に入りのピーター・サースガードは今回はバイ・セクシャルの助手役。
危ない目つきでリーアム・ニーソンに迫るとこなんかかなりインパクトありました。
ほんとこの人の目の演技は引き込まれてしまいますね。
どちらかというと悪役が多いですが良い俳優さんです。
あと、少しだけでしたがウィレム・デフォー(に見えたけどどこにも書いてない…)の怪演も印象に残りました。

仕事柄当然アダルト・ビデオなどにも関わるわけで、日頃から「色んな性癖の人がいるなぁ」とある意味感心してるんですが、別に性の問題に限らず、人間というのは本当に人それぞれ。
それなのに多くの人が「普通」でありたがるのが、昔から不思議でなりません。
作られた流行を追いかけ、孤独である事を嫌い、集団になろうとする。
社会は何でもカテゴライズしたがり、マイノリティを排除しようとする。
それに一体何の意味があるんでしょう?


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