メタル:ヘッドバンガーズ・ジャーニー

「なぜメタルは嫌われるのか?」という疑問を出発点に、LAからニューヨーク、ロンドン、さらにはノルウェーまで、メタルの聖地を訪れては、大物ミュージシャンへの体当たり取材を次々と敢行、少しずつそのルーツへと迫っていく音楽ドキュメンタリー。
監督は生粋のメタラーであり、文化人類学者でもあるサム・ダンとスコット・マクフェイデン、ジェシカ・ジェイ・ワイズ。

ピュアではないとは言え、一応メタル好きを自認する者として話題の作品を観て来ました。
内容は「最初のヘヴィメタル・バンドは?」「メタルのルーツとは?」「メタルの暴力性とセクシャリティ」「ファッション」「宗教と悪魔崇拝」などの様々な視点から、メタルという一つの文化を、アーティストやファン、ジャーナリストへのインタビューによって紐解いていくかなり真面目な作りで、純粋に「ドキュメンタリー」と呼べる仕上がり。
ライヴ・シーンも思った以上に挿入されていましたし、何よりメタルの歴史を築き上げてきた名立たるアーティストたちが「メタルとは何か?」というインタビューに答えているのは非常に興味深かったです。
作品としての粗さはありますが、メタル好きならまずまず楽しめる出来だと思いますね。

ちなみに、その登場するアーティストたちがまた錚々たる面子。

Tony Iommi(BLACK SABBATH)
Alice Cooper
Rob Zombie
Corey Taylor & Joey Jordison(SLIPKNOT)
Dee Snider(TWISTED SISTERS)
Kerry King & Tom Araya(SLAYER)
Vince Neil(MOTLEY CRUE)
Alex Webster & George ‘Corpse Grinder’ Fisher(CANNIBAL CORPSE)
Bruce Dickinson(IRON MAIDEN)
Lemmy(MOTORHEAD)
Ronnie James Dio(DIO)
Geddy Lee(RUSH)
Mark Morton & Randy Blythe(LAMB OF GOD)
Tom Morello(ex.RAGE AGAINST THE MACHINE)
Angela Gossow(ARCH ENEMY)
James ‘Munky’ Shaffer(KORN)
Denis ‘Piggy’ D’amour(VOIVOD)
Blasphemer & Necrobutcher(MEYHEM)

他にもJUDAS PRIESTの面々が、かの有名なPMRCの公聴会に出席している映像なんかもあったり。


一番楽しみにしてたGeddy Leeはそこそこフィーチャーされてましたけど、RUSH自体がどういう位置付けなのかという説明は皆無でしたね。
まぁ時間的な制約で、RUSH云々にしても、メタルという文化そのものに対する掘り下げにしても浅かった感は否めませんが、それは仕方の無い事だと思います。
未だに多様化・複雑化しているメタルの全てを網羅していてはキリがありませんからね。
その中で、毎年ドイツで開かれる世界最大のメタル・フェスWACKEN OPEN AIRやブラック・メタルの総本山ノルウェーにまで突撃取材をしていたのは面白かったですね。
Bruce Dickinsonに会った時もファン丸出しだったし、サム・ダンがただ行きたかっただけなのかも知れませんけど(笑)
トータルで見た場合、「メタルの」と言うよりも、サム・ダンという1人の人間が、自分のメタラーとしてのアイデンティティーを再確認する旅を記録したドキュメンタリーと言えるでしょう。

ただ、この作品をメタラー以外の人が観るかと言うと、それはかなり疑問。
「メタルは何故嫌われるのか?」というこの作品の肝となる問いにも最終的には答えているとは言い難いし、そもそも80年代の一時期を除き、アウトサイダーであり、マイノリティであったが故にここまでメタルは進化し、現在も存在しているのだと思いますからね。
嫌われているかどうかは知りませんが、メタラーの多くはその状況にこそ居心地の良さを感じているのではないでしょうか。
メイン・ストリームではないからこそ表現出来るサウンド、世界観。
そして、アウトサイダーであり、マイノリティである事に対するある種の優越感。
それこそがメタルが愛される理由であり、この作品の言葉を借りるならば嫌われる理由だと思います。
「メタルに市民権を!」とメロイック・サインを掲げながらも、本心では限られた人だけが聴く音楽であって欲しいと願うアンビヴァレンツがメタラーにはあるのかも知れませんね(笑)

まぁ何だかんだ言いつつも、オープニングの”The Number Of The Beast”やエンディングの”Master Of Puppets”を筆頭に、映画館でメタルが響き渡るというシチュエーションを楽しみました。
「何故メタルは嫌われるのか?」よりも、「何故ポップスは好まれるのか?」をテーマに、音楽産業の内部を抉るような作品にした方が面白い内容になりそうだと思うのですが、次回作はそれでどうでしょうか>サム・ダン


Similar Posts

コメント

  1. のり says:

    よく出てくるメンツですね(笑)
    ゲディ・リーはだいぶ新鮮すね。ってかメタルとRushの関係が謎(((-A-))

  2. sin says:

    何によく出てくる?
    BURRN!?

    RUSHは「プログレ・メタルの元祖」として登場してたわ。
    BLUE CHEER(綴り合ってるかな)について語ってたよ。
    “Summertime Blues”をバックに(笑)

  3. のり says:

    他のドキュメンタリーでもよく出てきてますょ。アリスクーパーとか、レミー、ロブゾンビあたり。
     
    ゲディ・リーいきなり出て来てましたね(  ̄ノ∇ ̄)
    個人的にアイオミ、ディオ、ロブゾンビが出てるところがオモシロかったですわ。
     
    みんな綺麗な目してマスター マスター・゚・。・゚゚・*:.。

  4. sin says:

    うん、昨日見た「ヘヴィ・メタル:ラウダー・ザ・ライフ」でもそこらへんがよう喋ってたわ(笑)

    そこそこ楽しめたやろ?

  5. のり says:

    100円で買った『メタルイヤーズ』にも出てますよ w

    オモシロかったすょー。もっとBGMとかライブ映像あってもいいくらいすね。
    系譜のスウェディッシュ・デスのところに、メシュガーのロゴありました w

  6. sin says:

    音も映像も予算の都合でなかなか使えなかったらしいよ。
    その割りには頑張ってたなぁと思う。
    何か次回作の撮影も始めてるという噂…(笑)

コメントの受付は終了しました。