ナイト・オブ・ザ・リビングデッド

livingdead-1.jpgホラー映画の新たな次元を切り開いたジョージ・A・ロメロの処女作にしてリビングデッド3部作の記念すべき第1作目。

出演:ジュディス・オディア、デュアン・ジョーンズ、カール・ハードマン、キース・ウェイン、ジュディス・リドリーほか
脚本:ジョン・A・ルッソ
監督:ジョージ・A・ロメロ


名作と呼ばれる理由を、無言でじわじわと突きつけてくるかのような孤高の雰囲気がこの作品にはあります。
この不条理さ、虚無感、一切の希望を感じさせない救いの無さは最近のホラーでは味わえない感覚。
確かにスプラッター・ブーム以降を見慣れた目には残酷描写のショッキングさはあまり感じませんし、自主制作だけあってチープな所も目に付くのですが、それを補って余りある独特の雰囲気は特別なものを感じますね。
黒人の市民権運動やベトナム戦争など1968年当時の社会的背景を反映させ、皮肉ったテーマが根底にある事もその大きな要因でしょう。
その衝撃的なラストは、個人の戦いや死は大きな争いの一部でしかない事を見る者に痛烈に突きつけてきます。
リアルタイムで観た当時の人々にはどう映ったのでしょうか。

元々ヴードゥー教の呪術の一つとして描かれてきたゾンビを、後のゾンビ映画の雛形となるゾンビ像(人間を食糧にする。襲われた人間はゾンビになる。脳を破壊すると死ぬetc…)として作り上げた(「ゾンビ」という単語は出てきませんが)点もこの作品の特筆すべき点ですが、個人的には閉鎖された空間での人間の極限の心理状況を描いてる所こそがこの作品を名作たらしめている点だと思います。
自尊心の強い黒人青年、保守的な白人夫婦と娘、神経衰弱の女性、ステレオタイプの若いカップルら、社会の縮図と言える集団が死への恐怖と閉塞感から仲間割れし、自滅していく様子は、その淡々としたカメラワーク、そしてモノクロの映像と相俟って自分もその場に居るかのような異様な緊迫感と恐怖感を感じさせます。
スピルバーグの「宇宙戦争」も手法としてはこれに近いものがあると思いますね。

この作品を見直す度に思います。
やはり真に恐ろしいのは人間そのものなのだと。


Similar Posts