迷宮の女

31qd7pxah3l.jpg殺人事件の容疑者となった多重人格の女を巡るサイコ・ミステリー。

出演:シルヴィー・テステュー、ランベール・ウィルソン、フレデリック・ディフェンタール、ミシェル・デュショーソワ、エドュアルド・モントートほか
音楽:ジャン=フェリックス・ラランヌ
脚本:ルネ・マンゾール
監督:ルネ・マンゾール


本格ミステリー、中でも多重人格ものでは間違いなく過去最高レベルの作品。

派手さはありませんが、巧みな伏線の張り方、現在と過去とを行き来するストーリーの見せ方、俳優の演技、そして映像、そのどれもが完璧と言っていいかも知れません。
無駄な贅肉を極限まで削ぎ落とし、隅々まで計算し尽くされたこの100分間は滅多に味わう事の出来ないもの。
全てが収束するラストの美しさに震えました。
そのあまりの見事さに、また最初から見直してしまった程。

ネタバレになるので詳しくは書きませんが、恐らく殆どの人が途中である程度までは結末を予想出来ると思います。
しかし、それが既にミスリード(間違いではないのですが)であり、本当の結末を知った時初めて全ての点が一本の線へと繋がるのです。

ギリシャ神話に登場するダイダロスの迷宮を物語のモチーフにしているのも大きなポイントで、それを知っていればより楽しめると思います(作品中でちゃんと解説されますが)。
そして、そのモチーフを装飾でなく、しっかりと意味のあるものとして活かしているのがこの作品の凄い所。
それだけでなく、作品に関わるもの全てに意味があります。
タイトル然り、秀逸なオープニング然り。
繰り返し見る事で、作品中に散りばめられた多くのヒントに気づくはずです。

キャストではシルヴィー・テステューの演技がずば抜けて素晴らしかったです。
瞬時に様々な人格を演じ分ける彼女なしにこの作品は成立しなかったでしょう。
「マトリックス」のメロヴィンジアン役で知られるランベール・ウィルソンと、「TAXi」のダメ刑事エミリアン役の印象が強いフレデリック・ディフェンタールも、これまでとはタイプの違う演技で作品に見事な緊張感を与えていました。
特にフレデリック・ディフェンタールは最初彼だと気付かなかった程。
こういう演技も出来たんですね。
見直しました。

ミステリー好き絶対必見の作品。


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コメント

  1. なろ says:

    sinさんのコメントを拝見して。論評に頷き。この作品の全てを語ってくれました。
    「迷宮の女」はかなり完成度の高い見応えのある作品です。途中から予想される結末でさえ、その収束の仕方に目が離せず、フランス映画らしい内面描写と、らしからぬクリア-なラスト。(反則スレスレ?でも満足♪)スピ-ディな展開描写は必ず2度見たくなります。
    sinさんに付け足すならば、加藤 剛似のランベ-ルウィルソンが出演。監督・脚本が「奥様は魔女」のルネ・マンゾ-ルという所もこの作品に更に興味を抱かせます。まさに珠玉のミステリ-。

  2. sin says:

    なろさん、はじめまして。
    コメントありがとうございます。

    この「迷宮の女」は本当に傑作だと思います。
    小説を読んでいるかのように、映像から次々に情報が飛び込んで来る快感を味わえますよね。
    これ程の作品があまり知られていないというのが残念でなりません。

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